そのマロンが旅立った日

ムスメが1~2才の頃、理由あって私とムスメは実家で暮らしていた。

マロンはすでに随分おばあちゃんで、一日中寝ていることが多かった。

ちょっとだけマロンが怖かったムスメは、おやつの時間は自分とマロンの時間と決め、

自分があげたおやつをマロンが喜んだ、と、いつも嬉しそうにしていた。

秋、母はまた具合が悪く、入院していた。

母と一緒にマロンを育ててくださっていた近所のおばあちゃんも、調子が悪かった。

マロンは歳を取って夜泣きしたりもするし、この先どう看てやればいいだろうと頭を悩ませていた時だった。

マロンが倒れた。

寝たきりになり、でも長引くことも考えられる症状だった。

私は、実家の家事、多動&喘息ムスメの育児、病院、自分の仕事、そして母のことで手いっぱいだった。

正直、彼女には申し訳ないけれど、長引いたらどうしようと思ったりもした。

でも結局、倒れて3日で、あっさり亡くなってしまった。

なんだか、「そろそろ逝かなければ」みたいな最後だったんだ。

その日、私は仕事が休みで、家で資格の勉強をしていた。

ときどき、ケージにいるマロンの様子を見に行き、撫でて、声をかけた。

きっともっとできることはあったけど、その時の私にはそれが精一杯だった。

時間に追われていた。

お昼に、近所のおばあちゃんが、マロンの様子を見に来たよ、と来られ、

私は『どうぞどうぞ。さっき大息してたから、もう長くはないかもしれないです。』と言った。

するとおばあちゃん、

「ねぇ、なんだか、息をしていないみたいなんだけど。来て!!」

私は驚いて慌ててマロンのところへ行ったが、すでに息を引き取っていた。

涙があふれた。

大息している、もう長くない、そう分かっていてなんで傍にいてやらなかったんだろう。

『マロン、ごめんね。ごめんね。』

おばあちゃんも、泣いていた。

不思議なことに、その時、普段仕事中に家に寄ったりしない父が帰ってきた。

「様子を見に寄った、、、間に合わんだったか。」

寂しがり屋だったマロン。

みんなを呼んだんだね。

翌日は父も私も仕事が休みだったので、火葬したり、片づけたりもしてやれたし、

ちゃんと時期をみて逝ったのかなと、みんなで話たりした。

最後まで、賢い子だったね。

ただ、一番信頼し、愛情を寄せていた母が傍にいなかったことは、辛かっただろうな。

亡くなる前と亡くなった直後、先生が許可をくれ、病院の玄関先で母と対面したけれど、

母は、もがき苦しむ姿も見ていないし、死んだなんて分からないとずっと泣くばかりだった。

10日後、退院して家に帰ると、マロンのケージがあった場所に置かれた骨壺の前にへたり込み、

「こんなのマロンじゃない。」とまた静かに泣いていた。

ごはんとおやつをあげるのが自分の仕事だったムスメ、

「マロンちゃん、もうご飯食べられないね。お空に行って食べられるように、持って行ってあげる。」

と、火葬場へおやつとドッグフードをこれでもかというほど握りしめて行った。

火葬の前の焼香の時には、ちゃんと手を合わせて、大きな声で、

「マロンちゃんがもう痛くないようにお願いします!」

とお願いし、骨も拾ってやって、帰りには

「マロンちゃんどの雲の上にいるの?あ、あれかな?きっとあれだよ。○○(自分)のことみてるんだよ!」

と言っていた。

骨壺の前で座り込む母に、

「マロンちゃん死んでしまって、焼いて、骨ばっかりになってしまったよ。

 でも、お家に帰ってきたから寂しくないんだよ。」

と語りかけていた。

一連の作業を、ちゃんと自分の目で見たムスメだから言えた言葉だと思う。

そんなムスメもやはり「死」というものがショックだったようで、火葬した後、保育園で初めてお漏らしをしたり、

数日の間異様に私にくっついて、「ママがいない!」と寝言で叫んでは起き、

「ママいなくならないで~」と泣いたりしていた。

悲しいけれど、身近な「死」を、マロンに学ばせてもらったんだなと思う。

きっと、この先覚えていなくても、大切な経験になったことは間違いないだろう。

しばらくムスメは、

もうマロンはいないのにご飯の準備をしかけたり、

一人でボールで遊んでは、

「マロンちゃん行くよ~!見ててね~!」と言いながらひたすら雲を目がけて上にボールを投げたり。

微妙な距離感だったムスメとマロンだけれど、やっぱり絆はあったんだ。

そんなしおらしいムスメだったが、火葬場でも多動っぷりを発揮。

「それではこれからマロンは炉に入ります」と係の人が静かに言っている奥から、

「ママー!ここ暗いよー!マロンちゃんここに入るのー?」

その場にいた大人はみんな「ぎょっ!!」っとして、慌ててムスメを探す。

さっきまで横で一緒に手を合わせていたのに!

案の定、炉の奥に入ってた、、、。

私が連れ戻すと、「マロンちゃんここは嫌だと思うなー」とぶつぶつ言いながら出てきた。

そして火葬の間、落ち着かないムスメを気分転換させようと、外に散歩に出ると、

火葬場の煙突からもくもく煙。

マロンを焼く煙。

私がそれを見て動けずにいると、ムスメが、

「マロンちゃんの煙?」

『そうだよ。今マロンちゃん焼かれちゃってるねー。』

「マロンちゃん、ウィンナーのにおいするねー!!(笑)」

ウィンナーはムスメの大好物。

確かに、香ばしかったわ。

でも、笑えたわ。

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