多動の人、初めて見失う

その「があがあ」でのことだった。

生後3か月で寝返りをして以降全く目を離すことができなかったムスメを、2歳、初めて見失ってしまった。

前に書いたように、病院でもとにかくじっとしていることができない人だったので、名前呼ばれて、診察室入って、もしもししてもらって、背中もしもししてもらって、口開けて、転がったら、「終わった」と言ってさっさと診察室から出ていく。

『まだだよ、ちょっと待って』なんて言おうものなら、診察室の器具をいじったり、先生にでっかい声でしゃべり続けたりするもんで、先生も「誰かが見てるからいいよ」とおもちゃコーナーに放ってくれる。

でも、おもちゃにもさほど集中しないので、やっぱりちょっと不安で、いつもちらちら見ながら気もそぞろで先生の話を聞いていた。

その日は、インフルシーズンの休み明けで、病院はパンパン!

先生もスタッフの皆さんも大忙しだった。

ムスメは、診察が終わるとやっぱりさっさと出ていってしまった。

「今日は吸入だけね。」

という先生の声を聞いてか聞かずか、吸入コーナーに向かうのが見えた。

先生の話が終わって部屋を出ると、吸入コーナー、、いない。

待合、、いない。

「ムスメちゃ~ん、吸入だよ~。」と看護師さんが呼びに来る。

『すみません、、いないんです、、』と私。

「え!!」

すぐに受付のお姉さんが立ち上がって

「外には出てないと思います!!」

「え、ムスメちゃんいないの?!」とスタッフさん達。

ムスメがとにかく目が離せない子であることを熟知しているスタッフのみなさんの表情が変わった。

「こっちにはいないよ!」

「処置室にも来てない!!」

みんなただでさえものすごく忙しいのに、必死に探してくれる。

他の患者さんたちは何事かとキョロキョロ。

もしかしてトイレ、や、でも、最近よく道路に飛び出すし、、外が危ない、中ならきっと大丈夫。

あの子はおバカさんだけど、頭はいい。薬や、触っちゃいけないものは分かっているはず。

とりあえず外に飛び出し、駐車場や周辺の道路を探すも、、、いない。

隔離室、、処置室、、、いない、、いない、、

さすがにだんだん焦ってくる。

どこ?どこ?

危ないことをしていないか、、まさかだけど、このまま見つからなかったら、、

そのとき、、

「おかぁ~さ~ん!」看護師さん。

『は!はい!!』慌てて声の方へ(いたの?)

「おられましたよー」

「下裸で」

、、、、、待合室のど真ん中で、ふりちんで突っ立っていた。

「あ、ママー!お~きいのでたよー!」

私は、安堵とか、スタッフの皆さんに申し訳ないのとか情けないのとかで、その場に座り込んでしまった。

「ムスメ様、ムスメ様、一人でトイレに行ってきたの?」看護師さん。

「うん!!ねーねーママ、トイレ行ってきたよー!」

私は何も言葉が出ず、ようやく絞り出したのは『流した?』

「うん!見て!見て!」

へたってる私をぐいぐい引っ張ってトイレへ連れていき、ちゃんと綺麗にしてあるトイレを自慢げに見せてくれた。

スリッパもきちんと履いた模様。

「ムスメ様、すごいね~、一人でトイレ行ったの?えらかったね~。すごい!!さ、吸入しようか。」

発見者の看護師さん。

忙しい中、そんなことで大騒ぎ起こして、イライラしたって当然なのに、そう言ってムスメを褒めてくださった。

神に違いない。

病院の皆様、患者さん、ご家族様、本当に申し訳ありませんでした。

一連の騒ぎを見ていた他のお母さんたちは、

「すご~い、、、」

どっちの「すご~い」だろ。

言い方も表情見ても、いい意味ではないよな、、。

分かってるさ、、

本当に、本当に、

頼むよ、ムスメ。

いつか本当に、見失ってしまうよ。

本格的にムスメを見失ったのは、いまのところ多分これっきり。

けど、大きくなったムスメは、病的に方向音痴であることが判明し(グーグル先生も無意味)、しょっちゅういなくなるようになった。

我が家から一本道4分の駅まで一人で行けるようになるのに2年。

6年生の時は、学校で迷子になった。

お使いを頼むと、帰り道が分からずたいてい1時間は迷って帰ってくる。

今はこんなのがあるんだ。

当時も子供携帯とかあったけど、思いつきもしなかった。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

前の記事

病院通い

次の記事

月一の病院